
「ふくしまの今を感じる旅」は、ふくしまの海や山、おいしい海鮮や農作物、人々との触れ合いを通してふくしまの復興を肌で感じ、未来への希望を共有するツアーです。国内外からの参加者を受け入れ、過去には、ノルウェーからの夫婦、ハワイからの親子、オクラホマ大学の学生など、様々な国籍の方が参加しています。
最新施設の見学や継続的に行っている海水検査データなどもご紹介しつつ、サーフィン体験やトマト収穫体験、夜は居酒屋で新鮮な海の幸を味わったりと、ふくしまの「今」を感じてもらうツアーになっています。
2011年、1通の手紙がグローバルミッションジャパンに届きました。送り主はハワイに住む10歳の女の子。米国ハワイ州ホノルル「Koko Head Elementary School」から送られてきた手紙には、英語と日本語で東日本大震災で被災した人たちに向けてエールが綴られていました。あれから13年の時が経ち、彼女は福島を訪れました。
彼女の名前はカイリ。今回、友人のマイケルとともに初来日しました。
―カイリ:この手紙は、私が小学5年生のときに書いた手紙です。日本で大きな地震と津波が起きたことを知り、とても心が痛んだことを覚えています。日本の皆さんが少しでも元気になりますようにと祈りを込めて、学校で手紙を書きました。あれから13年が経ち、私は小学校の先生になりました。念願だった福島に来ることができてとてもうれしいです。
カイリとマイケルがまず向かったのは、学校法人信栄学園平幼稚園。「福島の子どもたちと交流したい」とボランティアで訪れたふたりは、ハワイからのお土産を子どもたちにプレゼントし、手遊びや歌で一緒に遊びました。
「大学で幼児教育を習ったので、日本へ来たらまず子どもたちと触れ合いたいと思っていました。子どもは宝です。この子たちは震災を知りませんが、福島の将来にとって大切な存在です。子どもたちの笑顔を見れて最高に幸せな時間でした」
幼稚園を後にし、ランチは「お痔司が食べたい」とのリクエストで、いわき駅前の「寿司おのざき」へ。「常磐もの」と呼ばれる福島県沖で獲れる魚介類は、質の高さから全国的にも高い評価を得ています。今回、常磐ものをはじめて食べたふたりはその新鮮さとおいしさに驚いていました。
―カイリ:お魚もおいしいけど、福島のお米も最高においしいです!ハワイではお米を食べる人が多いので、ぜひハワイで福島のお米を売って欲しいです。家族は絶対に喜ぶと思う!
と福島のお米を大絶贅していました。
その後は、津波でいわき市最大の被害が出た薄磯地区を訪れました。改めてその被害の大きさを知るとともに「大きな地震が来たらすぐ高台へ避難する」という教訓を胸に刻んでいました。
―カイリ:福島の今の姿を自分の目で見ることができてとても幸せでした。災害があったとは思えないほど町は再建されていますし、人もとても温かく笑顔が印象的でした。ここに来るまでには、たくさんの方の懸命な努力があったのだと思います。
―マイケル:福島が元気になったことを肌で感じることができてとても嬉しく思いました。これからも、皆さんが安全で平和に暮らせることを願っています。ハワイに帰ったら、福島で見たこと、感じたこと、元気な姿を家族や友人に伝えたいです。
シカゴ出身のレイチェルとシアトル出身のエマは、2回目の来日です。「海が大好き」というふたりは、サーフィンをすることを楽しみに福島を訪れました。
初日は、薄磯海岸へ。薄磯海岸は「塩屋埼灯台」の北側に位置する白砂の美しい海岸で、夏の海水浴シーズンには多くの家族連れなどで賑わいます。いわき市のサイトによると、1995年には53万人の海水浴客が訪れたそうで、「日本の渚百選」にも選ばれました。
そんな美しい海から大津波が押し寄せたのは、2011年3月11日。東日本大震災でいわき市は震度6弱を記録し、沿岸部は津波被害に見舞われました。薄磯地区では最大8.5mの津波が押し寄せ、家屋のほとんどが流失し、122人の尊い命が犠牲となりました。
ふたりがまず訪れたのは、海岸から歩いて5分ほどの場所にある「いわき震災伝承みらい館」です。震災の記憶や教訓を風化させず後世へと伝えていくことを目的とした施設をじっくりと見て回り、震災発生から現在に至るまでを学びました。
その後、砂浜で散歩や貝殻拾いをし、サーフィンを楽しみました。
―レイチェル:広くて清潔な砂浜に、透明な波、海がとても美しくて本当に気持ちがいい場所です。サーフィンもリラックスして楽しめました。実は今日は私の24歳の誕生日なんです。大切な日に、ここに来れたことを心からうれしく思います。
その後、いわき市四倉町にあるトマトのテーマパーク「ワンダーファーム」へ行き、プランドトマト「サンシャイントマト」の収穫体験をしました。太陽の光をたっぷり浴びて元気に育ったトマトはどれもジューシーで甘く、新鮮な採れたてを堪能しました。
翌日は雨のため、近場で街散策。モニタリングポストヘ向かい、実際の放射線線量をリアルタイムで確認しに行きました。この日の放射線線量は0.097µSV/hでした。
―エマ:雨の日は世界共通で自然界の線量値が一時的に上昇するということをNPOスタッフから聞きました。石造りの家は日本のような木造家屋に比べると、線量が高いそうです。いわき市内の数値は世界に比べても安全で、むしろ私の住んでいるところの方が心配です。いつでも、だれでも数値を確認できるということは、むしろすごいことだと思います。事実を知るって大切ですね。
「カフェまで歩きましょう」と、雨の日を楽しみながら街を歩くふたりの足どりは軽快です。その後はランチヘ。ツアーの中で、ふたりが特に絶賛していたのが福島の「食」でした。
―エマ:食べるものすべてがおいしくて感動しました。中でも、お寿司がお気に入り。福島の海で獲れる「常磐もの』はどれも新鮮で、毎日食べても飽きないと思えるくらいです!
ふたりはツアー以外でも、コーヒーショップを巡ったり、自転車で街を散策したりと滞在を楽しんだようです。
―レイチェル:私が生まれ育った町、シカゴは大気汚染がとても深刻です。福島は自然に恵まれていて、空気が新鮮で、毎日本当に気持ちよく過ごすことができました。町の人たちも温かく歓迎してくれました。福島について誤解している人も多いけれど、素敵な人たちがいて、おいしい食べ物があって、美しい自然があるとても素晴らしい場所だと伝えたいです。
次の来日では、福島の豊かな文化と歴史も学びたいと話すふたり。自然の美しさや人の温かさを肌で感じ「福島が大好きになりました!」と、とびきりの笑顔を見せてくれました。
「ふくしまの今を感じる旅」の説明会は、東京と名古屋の2カ所で開催しました。東京会場の「お茶の水OCCセンター」では、東京大学本郷キャンパスOG会のメンバーを中心に20名、愛知県会場の「東名古屋キリスト教会パークサイドチャペル」では約50名の方にご参加いただきました。
説明会では、東日本大震災からの復興への歩みや福島の現状について、具体的な事例や写真を交えながらご説明させていただきました。説明会に参加された方々は熱心に耳を傾け、復興に向けた取り組みや現状について、多くの質問が寄せられました。参加者からは「実際の状況がよく分かった」「福島に行ってみたい」といった前向きな感想をいただきました。
東京会場の参加者のうち4名は、福島へ関心を持ち、11月にいわき市で開催された「さつまいも料理ワークショップ」に参加。地元の高校生と交流しながら、食材を通じて福島の魅力や現状を肌で感じていました。